理念・方針
令和6年度 学校長あいさつ 高知市立城東中学校長 三谷 香
タンポポ魂の育成
このタイトルは、城東中学校の学校教育目標で、詩人の坂村真民さんの「タンポポ魂」という詩から引用した言葉です。タンポポには、踏みつけられても枯れない強さや、太陽に向かって 咲き続ける明るさがあります。また、タンポポの花言葉には、「自分の幸せを求めながら人の幸せを考える」という意味があり、タンポポの種のように、どんな遠いところへ飛んでいっても、そこで花を咲かせ、周りの人々の幸せも考えることができる人間に成長してほしいと願っています。生徒、教職員、保護者、地域、みんなの力で、美しいタンポポの花が咲き続ける、そんな学校にしていきたいとかんがえています。
また、サブタイトルの「ISSHIN」は、学校スローガンとして掲げているものです。「心を一つ」にという意味の「一心」。「学校を変える」という意味の「一新」。「一歩ずつ進む」という意味の「一進」。「成長する」という意味の「一伸」。「芯のある学校」という意味の「一芯」など、「ISSHIN」という音には、いろいろな漢字を当てはめることができます。今後は、学校教育の様々な場面で、この「ISSHIN」を活用していきます。
さて、城東中学校では、学校教育目標に「『タンポポ魂』の育成」を掲げ、「学ぶ力」と「伝える力」の育成を図るため、今年度はさらに学校を「ISSHIN」していくよう、取組に挑戦してまいります。
今年度の研究テーマは、「主体的・対話的で深い学びのある授業の創造」とし、アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善を更に進めてまいります。新しい学習指導要領が目指す「主体的・対話的で深い学び」の実現に向け、「教え」から「学び」へと授業の質的転換が求められており、教師が「教える」授業から、生徒が主体的に「学ぶ」授業へと質的転換を図っていきます。2019年8月には、PTAから全面的なご支援をいただき、全学級に電子黒板型プロジェクターを設置することができ、GIGAスクール構想にいち早く対応できるよう、教室環境の充実にも努めてまいりました。現在、本校では、タブレットを活用し、SNSやデジタル教科書等の情報機器や視聴覚教材を効果的に活用した新しい授業スタイルの構築にも取り組んでいます。また、2020年度には、生徒一人一台のタブレットが整備されたことから、タブレットを活用した授業についての研究を推進していきます。さらに、「J.Scheduler」という手帳を活用し、生徒の「自己管理能力」や「タイムマネジメント力」の育成にも努めてまいります。
加えて、特別支援教育についても更なる充実を図ってまいります。2021年度から、校内適応指導教室「学びの保健室『タンポポルーム』」を開設し、不登校生徒への支援についての先導的な研究に取り組んでおり、今年度も継続して研究を進めてまいります。
学校経営においては、「カリキュラム・マネジメント」の視点を生かし、「学校経営マンダラート」を活用し、目標達成に向けてPDCAサイクルを回していきます。「カリキュラム・マネジメント」とは、「学校教育目標達成に向け、組織を創り、動かし、変えていく営み」と言われています。生徒、教職員、保護者、地域の方々等が心を一つ(「ISSHIN」)にし、ベクトルを合わせ、目標達成に向けて今年も努力してまいります。
今年度も、新型コロナウイルスの影響を受けながらの学校経営にはなりますが、今までの「学校の常識」「学校の当たり前」について常に再考を図りながら、新しい学校づくりに邁進してまいる所存でございます。
保護者や地域の皆様に信頼され愛され、「城東中学校は上等の学校になったね」と評価され、生徒が城東中学校を卒業したことを誇りに思えるような城東中学校になるよう、教職員一同全力で取り組んでまいります。ご支援・ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
令和6年度学校教育目標
1.学校経営理念
・基礎・基本の定着を図り、確かな「学力」を身につけることができる学校
・豊かな「人間性」をはぐくみ、確かな「言語能力」を身につけることができる学校
・教職員が協働して、魅力ある教育活動に積極的に挑戦していく学校
・地域、保護者から信頼され、愛され、「社会に開かれた」風通しのいい学校
1.カリキュラム・マネジメントの
1丁目1番地は「学校教育目標」にあり。
〇シンプルで明確な「学校教育目標」を策定する。
〇PDCAサイクルを活用し、目標と評価の一体化を図る。
【カリキュラム・マネジメント】
〇学校教育目標は、教職員・生徒・保護者・地域住民で共有する。
【社会に開かれた教育課程】
3.「チーム学校」の鍵は
「ベクトル合わせ」にあり。
〇「学校教育目標」「重点目標」の下位目標としての「学級目標」「生徒会目標」等を設定する。
〇「念ずれば花開く」(坂村真民)→教職員・生徒・保護者が「良い学校にしたい」という強い願いを共有する。
4.授業改善への近道は
「フレームワーク」の活用にあり。
〇「城東スタンダード」による新しい授業スタイルを構築する。
〇アクティブ・ラーニングの視点に立った「主体的・対話的で深い学び」のある授業を創造する(「城東授業プラン」の活用)。
〇「J.Scheduler」を活用し、「自己管理能力」の育成を図る。
城東中学校「3つのISSHIN(一新)」
グランドデザイン
2021年度からの新学習指導要領では,生徒たち一人一人に「生きる力」を育成するために,社会に出てからも学校で学んだことが生かせるよう,各教科等において,右の三つの資質・能力を育成することが示されました。
これを参考に,城東中学校では,学校教育目標の「『タンポポ魂』の育成」に向け,学校や地域の実態から,本校の生徒に育成したい資質・能力を,全教職員で協議し,「我力」・「話力」・「和力」の「三つの輪」を柱に,「主体性」・「実行力」・「傾聴力」・「表現力」・「協調性」・「創造力」の6つの力が重要と考え,「城東コンピテンシー」と名付けました。それらの力を身に付けた生徒に育ってほしいという願いを込めて,「目指す生徒像」を定めました。
「城東コンピテンシー=三つの輪」を身につけた生徒
我力わりょく
【主体性】自分で考えて、判断し、責任をもって行動することができる生徒
【実行力】目標や目的を達成するために、計画を立て、それを成し遂げることができる生徒
和力わりょく
【協調性】周りの人と円滑にコミュニケーションを取りながら、目標達成に向けて努力することができる生徒
【想像力】今までの発想にとらわれず、情報を活用し、新しい価値やアイデアを生み出すことができる生徒
話力わりょく
【傾聴性】相手の話に耳を傾け、相手を理解し、相手との良好な関係を築くことができる生徒
【表現力】自分の「思い」や「考え」を、相手に分かりやすく、自分の言葉で伝えることができる生徒
城東スピリット 「我を磨き 話を繋ぎ 和を紡ぐ」
本校が定めた「城東コンピテンシー」の「三つの輪」は,「OECDのキー・コンピテンシー」にも通じるものがあると考えています。また,文部科学省が示す「主体的・対話的で深い学び」や本校の授業スタイルである「城東スタンダード」とも重ねて考えることが可能です。
「城東コンピテンシー」をもとに作った「城東スピリットの『我を磨き,話を繋ぎ,和を紡ぐ』」を合言葉に「芯を育てる学校(一芯)」を目指していきます。
「学び」とは,わからなかったことがわかるようになった,できなかったことができるようになったと,学んだことで自分が変わることです。「学ぶ」がなければ,「教える」があっても「学び」にはなりません。今までの授業では,「教える」という行為ばかりが目立ち,「学ぶ」という行為が起きていない教室もありました。
2021年度からの新学習指導要領では,今までの一斉授業の「教える」スタイルからアクティブ・ラーニング型の「学ぶ」スタイルへと授業改善が求められています。アクティブ・ラーニング型の授業では,「学ぶ」ことが前提にあります。
一斉授業とアクティブ・ラーニング型の授業との違いは?
主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)の定義(文部科学省)
新学習指導要領が目指す「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)の視点からの授業改善」とは,生徒たちの「学び」そのものが,「アクティブ」で意味あるものとなっているかという視点から授業をよりよくしていくことを指します。具体的にどのような授業を目指すか,文部科学省は4つの例を挙げています。
● 一つ一つの知識がつながり,「わかった!」「おもしろい!」と思える授業
● 見通しをもって,粘り強く取り組む力が身に付く授業
● 周りの人たちと共に考え,学び,新しい発見や豊かな発想が生まれる授業
● 自分の学びを振り返り,次の学びや生活に生かす力を育む授業
アクティブ・ラーニング型の授業のメリット(城東コンピテンシーの育成)
1 「主体性」や「実行力」の育成
新学習指導要領では「何を学ぶか?」から「どのように学ぶか?」,さらに「何ができるようになるか?」が重視されています。今までの「教師が教える授業」から,「生徒が自ら学ぶ授業」へと変わることで,生徒は主体的に学習に取り組むようになります。課題の発見と解決に向けて取り組むアクティブ・ラーニング型の授業では,「主体性」や見通しをもって粘り強く取り組む「実行力」が高まります。
2 「傾聴力」や「表現力」の育成
他者とのコミュニケーションの機会を増やすことで,問題解決能力も向上します。大切なのは,自分にとって必要な情報を聞き分けることができる「傾聴力」です。「傾聴力」が高まれば,よりよい質問を相手に返すことができます。また,グループでの対話や活動において,獲得した(インプット)知識を他者に説明(アウトプット)する機会を増やすことで,「表現力」が高まり,記憶に残る学びへとつながっていきます。
3 「協調性」や「創造力」の育成
課題解決に向けてのグループでの対話や活動では,協力や協働が必要になることが多く,チームワークや調和といった「協調性」が育成されます。また,「総合的な学習の時間」を中核とした「探究的な学習」では,①課題の設定②情報の収集③整理・分析④まとめ・表現のプロセスを通して,既存の概念にとらわれない発想力や企画力といった「創造力」が培われます。
城東中学校では,次の三つの視点から授業改善に取り組んでいきます。
Check!
● 学ぶことに興味・関心をもち,課題を「自分ごと」として考えているか
● 学習の見通しを立て,粘り強く取り組んでいるか
● 「振り返り」を次の学びにつなげているか
Check!
● 話し合う課題が明確にもてているか
● 相手意識・目的意識をもったコミュニケーション活動や表現の場を設定しているか
● 思考ツールを活用したり,学習形態を工夫したりしているか
Check!
● できなかったことが,できるようになったか
● 習得した知識・技能が日常生活において活用され,「役に立つ」学びになっているか
● 各教科等の「見方・考え方」を生かし,論理的に考え,表現できているか
ICT機器活用のメリット
1 視覚的でわかりやすい
2 授業への興味・関心が高まる
3 思考や理解が深まる
4 画面上に文字や線を書き込める
5 板書の時間を大幅に削減できる
新学習指導要領には,「これからの社会が,どんなに変化して予測困難になっても,自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,判断して行動し,それぞれに思い描く幸せを実現してほしい。そして,明るい未来を,共に創っていきたい。」という思いが込められています。
また,改訂の方向性として「社会に開かれた教育課程」が新たに示され,学校で育むべき資質・能力を社会と共有するこの重要性が述べられています。つまり,学校と保護者・地域との間で,城東中学校の生徒たちにどんな力が必要か,どんな生徒に育ってほしいのかということについて共通認識をしていく必要があるのです。そして,保護者・地域,企業の方々を重要なパートナーとして連携・協働していくことが,今,学校に求められているのです。
「社会に開かれた教育課程」(文部科学省)
教育課程を通して,これからの時代に求められる教育を実現していくためには,よりよい学校教育を通してよりよい社会を創るという理念を学校と社会とが共有し,それぞれの学校において,必要な学習内容をどのように学び,どのような資質・能力を身に付けられるようにするのかを教育課程において明確にしながら,社会との連携及び協働によりその実現を図っていくという,社会に開かれた教育課程の実現が重要となる。
本校では,学校スローガンの「ISSHIN」をキャッチワードに生徒・教職員・保護者・地域・企業の方々と心を一つ(一心)に学校改革に取り組んでいきます。
本校の良き伝統は引き継ぎつつ,「以前の学校」「昨年の学校」「昨日の学校」を超えられるよう,日々一歩一歩前進(一進)し,少しでも成長(一伸)できる学校でありたいと願っています。
理念を社会と共有するために
1 ホームページによる情報発信
2 学校パンフレットによる情報発信
3 生徒からの情報発信(新聞投稿等)
4 学校教育目標(ポスター)の掲示
5 地域コミュニティーの場での情報発信
6 各種行事への招待(学校を開く)
7 授業参観週間の実施(授業を開く)
8 外部講師等の積極的な活用
9 ボランティア活動への積極的な参加
10 地域の力を活用した総合的な学習の時間の創造